「大腸がんの検査って、腫瘍マーカーじゃだめなんですか?」
よく患者さんからいただく質問のひとつに、
「大腸がんの検査って、腫瘍マーカーでわかるんですよね?」というものがあります。
結論から言うと――残念ながら、腫瘍マーカーはがん検査の代わりにはなりません。
◾️腫瘍マーカーとは?
腫瘍マーカーとは、体内にがんがあるときに血液中で上昇することがある物質のことです。
たとえば大腸がんでは「CEA」や「CA19-9」などが有名です。
しかし、ここが大事なポイントです。
◾️診断ではなく“補助的な指標”
腫瘍マーカーは、がんの診断に使うというよりも、
すでにがんの診断がついている患者さんに対して、治療の効果を見たり、再発の兆候をチェックしたりする**「補助的なツール」**として使われます。
たとえば…
がんが手術で取りきれなかった場合 抗がん剤治療をしている場合 再発が心配される場合
などに、腫瘍マーカーの数値を定期的にチェックすることで、CTや内視鏡の検査の合間にもある程度の変化を追うことができます。
◾️腫瘍マーカーだけでは見つからない理由
がんがあっても、マーカーが上がらない人が多くいます。 特に早期がんでは、ほとんど上昇しません。 逆に、がんがなくてもマーカーが高くなる場合もあります。
つまり、腫瘍マーカーが正常だから安心、というわけでは決してないのです。
◾️唯一、診断目的に使われる例外は…?
実は、**前立腺がんの「PSA」**という腫瘍マーカーは、
健康診断などでも使われることがあり、ある程度診断的な意味も持ちます。
でも、それはあくまで「例外的な腫瘍マーカー」です。
◾️まとめ
腫瘍マーカーは、「がんを探す」ための検査ではなく、
「がんの経過を追う」ための補助的な道具です。
がんをきちんと調べるためには、内視鏡検査(胃カメラや大腸カメラ)が必要です。
「血液で済ませたいな…」というお気持ちはよく分かりますが、
正確な診断と安心のためには、やはり内視鏡検査が不可欠です。
気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談くださいね。